■会報78号より■


 先日、可部小学校の児童たちと根の谷川について学ぶ機会がありました。子どもたちが、
「根の谷川は汚い」「根の谷川は危険だ」と口をそろえて言うことに驚きました。
そこで根の谷川をいろんな角度から見て、実際はどうなのか。私たちは子どもと根の谷川が、
今後どのようにかかわっていけばいいのか考えてみようと思い立ちました。

川には大腸菌がうようよ?


「根の谷川は大腸菌がいっぱい」だから入られない、「魚は食べられない」という声。
殆どの子どもがそのように考えているらしいんです。ほんとうにそうなんでしょうか。
そこで太田川河川事務所を尋ねてみました。
「過去のデータもあるし、現在の根の谷川にどれくらいの大腸菌がいるのか。
川に親しんでもらうためのデータ−等を…」と丁寧な対応をしてもらいました。

「採取方法によれば、大腸菌は我が家の井戸水から採取されたことがある…」
とは江角さん。「カラスも水質調査の項目に大腸菌を加えたら…(遠原さん)」
と積極的なご意見です。
<大腸菌=病原性大腸菌O157>というような先入観が広く私達のどこかに潜んでいるような
気がします。そして、子どもたちと川の距離を縮める方策については保護者の意識を変える
ことが必要という遠原さん。ちょうど児童の両親が生まれ育った頃が高度経済成長期で、
環境破壊が大きかったことがこどもたちに影響を与えているのではないか(新沢さんも同意見)。
先生方も悩み多いことでしょう。

 

 

 

 

可部小の根の谷川観察

最後に「子どもと川を近づけるための方策」についての意見です。

可部・可部南小の取り組みは意義があった。子どもは嬉々として川に親しんでいた。地域を挙げて「川まつりの日」の検討を。(遠原さん)
川は楽しいところ。危険回避の方法を教えて、そのあとで水質やゴミのことなどを教えて行けばよい。(江角さん)
川のところどころに、子どもたちが安全で安心して水遊びが出来る場所をつくればよい。もちろん関係機関や団体等との合意や協力が前提。
(新沢さん)
7月7日,12日と根の谷川の学習に臨んだ可部小・可部南小学校の子どもたちの表情は、いずれも水に触れて“楽しそう”だったことをお伝えします。


■会報79号より■

広島市の秋葉市長さんが「広島市内の川で泳がれないだろうか」と尋ねられたとき、担当者から「川底に堆積したヘドロの問題を除けば、あとは大腸菌のみクリアできれば水泳は可能」との回答があったとか。環境に関心の深い市長さんのことですから、あり得る話です。

先日、可部小の出前授業“根の谷川の水しらべ”の中で「根の谷川は大腸菌が多いので入られない、魚も食べられない」という子が殆どでした。そこで太田川河川事務所可部出張所に尋ねたところ、ご好意により、昭和47年から平成14年度までの根の谷川の「大腸菌経年変化」データを提供していただきました。


大腸菌群数の最高は昭和48年(210,000)、最低は平成2年(7,000)となっていますが、環境基準河川B類型では大腸菌群は50,000以下と定められており、近年では平成1112年度が基準値を上回るのみです。
根の谷川も大腸菌の数をあまり心配しないで子どもたちが川遊びできる日が近いのではないでしょうか…。

出前授業で学校を尋ねるたびにそんな思いが募ります。
たとえ泳ぐことは無理でも、川の水につかって自由に遊べる場所をつくりたいと思います。たとえば根の谷川と南原川合流点とか寺山橋付近、新川橋下流とか。
最近、根の谷川でアユ漁を楽しむ姿をよく見かけますが、捕れたアユは食膳に上るのですから、こどもたちが川で遊ぶこともできるような気がします。

可部カラスの会が毎年実施している「根の谷川の水質調査」の項目に大腸菌の調査を加えてはという声もあり、検討してみたいところです。子供たちが元気に遊ばれる環境づくりにも力を注ぎたいと考えます。



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