■トイレは小さな美術館トイレは小さな美術館

  可部は石雲街道、そして太田川の舟運、両面で接点をもち、昭和初期まで川舟による
広島への物資輸送で栄えました。
 可部を支えてきたのは“太田川”であり“川舟”であったといえます。
明神公園(かつては舟入掘と呼ばれていました)は、これら「可部舟」の根拠地として存在し、
可部の歴史に深いかかわりをもつ重要な場所です。
 私たち市民グループは“もっと可部のまちを知って好きになろう!”と
 ワークショップの形態を取り入れた住民参加型のまちづくりを〔区役所〕〔市民グループ〕
〔まちづくりの専門家(広島県建築士会)〕の三者がいっしょになって、まちづくりを
ゲーム感覚でくりひろげてきました。そのまちづくりを考える中で、
 明神公園のトイレ建て替えにかかわることとなりました。


  ■明神公園の公衆トイレに自分たちで書いた絵タイルを張ってみよう!
   タイルアーチスト参加者募集!!
   平成9年1月18日、この呼びかけに子どもたち30名、そしてトイレの建築業者、
絵タイルの関係業者、市民グループ、 区役所等、約50名が参加しました。


              

  内 容
  明神公園(舟入掘)の役割等学習。
 かつての舟入掘の様子を紙ねんどで模型をつくり具体的に説明。
 当時浮かべてあった川舟の様子を実寸大で土の上に描きみんなで乗り、はいポーズ!
 舟入掘から太田川まで川舟が出ていったコースを探検。
 公園の探検や昔の話をきいた後、いよいよ絵タイルの下絵描き。


  ■絵タイル完成! トイレが小さな美術館に! みんなで「おひろめ会」をしよう!!
 平成9年3月23日、この呼びかけに子どもたち30名、公園付近の子供会、町内会長さん、
トイレの建築業者、絵タイルの関係業者、市民グループ、区役所等、地域をまきこんで
約70名が参加しました。

  内 容
  盛大なセレモニー
 音楽と共に鳩を飛ばし、除幕式、くす玉割りとテープカット。 
 インタビュー形式で「出来ばえ」を話し合った後、自分が描いた絵タイルの前で「これ僕のだぞ!」と
記念写真。
 トイレにまつわるクイズ
 明神公園のトイレの大きさはいくら。
 身障者、健常者いっしょに使うトイレなので、車椅子で体験!
  最後に参加された子供会の皆さんと、公園の草取りとトイレ等掃除。


                 

 ●おわりに
  以上、これらは1本の電話から発信された事により始まりました。ある日、
区役所の岩田さんから「明神公園のトイレの建て替えにかかわってみませんか?」という内容の
連絡を受けた私は、
かねてよりこの場所に関心があり、同じかかわっていくのなら、その時、私たちが探検していた
ワークショップの流れの中で取り組んでみたいと考えました。
設計の段階から携わるということは出来ませんでしたが、この一本の電話がなければ、
本来の行政での公衆トイレ建て替え工事として終わっていたと思います。
「感動」と個人の経験から構築された「思い」は、時に人と組織を変え、
新しいものを生み出していくものだと思いました。
そして、このようにかかわれたことによりトイレに親しみが沸き、
可部のまちに愛着と誇りを持つきっかけになったと思います。

戻る